中小企業向けの福利厚生について
慶弔給付事業について
中小企業向けの福利厚生としては共済会を設立し、共済会事業を通じて福利厚生を導入する方法があります。
共済会とは従業員(職員)から給与控除で会費を徴収し、事業主も拠出するものです。
事業主だけの負担で福利厚生を実施する場合と比較して、事業主の負担が軽くて済みます。
主要な給付事業について
☆慶事給付
1.結婚祝い・子女結婚祝金品
結婚祝いは、出産祝いと並んで、慶事給付では実施率が高いです。
給付事由の設計事に検討課題となるのは、再婚時の給付額の水準です。再婚時は初婚時の半額とする共済会もありますが、ほとんどは初婚と再婚による給付額の区別はありません。
もう一つの課題は、共済会同士の結婚の際に、それぞれの会員に給付するか否かというものです。ほとんどの共済会が夫婦それぞれの会員に給付しています。
2.出産祝金品
出産祝いも、実施率の高い給付です。双子、三つ子の場合は、それぞれ2名分、3名分給付されます。夫婦とも会員の場合は、結婚祝金と同様、それぞれに給付する共済会がほとんどです。
第一子、第二子、第三子で給付額を異ならせるかどうかが給付設計時の課題です。多くの共済会は生まれた順位にかかわらず同額です。親である共済会員の心情に沿うものです。
3.入学・進学祝金品
子女が小学校に入学した場合に給付されるのが入学祝です。
中学校・高校・大学へ進学した場合に進学祝が給付されます。
入学祝のみで進学祝がない共済会が多いです。他の慶事給付と比べて回数が多くなることから、金銭ではなく祝品とする共済会も多くあります。
4.銀婚祝金品
共済会員の結婚25周年を祝うのが銀婚祝です。
5.永年勤続表彰金品
従業員に長期勤続を促す給付が永年勤続表彰です。
企業などでは、勤続25年、30年といった節目にあたる従業員などに、リフレッシュ休暇などの名目で長期の特別休暇を付与し、同時に旅行券などを支給するのが典型的な永年勤続表彰です。
6.退会餞別金品
退会餞別金品は、母体事業主からの退職・転籍などによって共済会の加入資格を喪失する会員に対して、共済会の在会年数を算定基礎として給付されます。
在会年数が規約で定めた年数以上であることが給付要件で、在会年数に応じて給付額が算定されます。
☆弔事給付
1.本人死亡弔慰金
死亡弔慰金は、弔事給付の中で最も多い給付種類です。本人死亡弔慰金と家族死亡弔慰金に分けられます。母体事業主からの死亡退職金とは別に給付されます。
本人死亡弔慰金の額は、平均値は他の慶弔給付額と比べ格段に高額であり、100万円超となっています。これは主たる働き手を失った遺族の気持ちを慮るとともに、遺族の生活費を補填する目的を感じます。
2.家族死亡弔慰金
家族の死亡に対する弔慰金も定番の給付です。特に配偶者、子女、実父母の死亡を事由とする給付は多くの共済会で実施されています。
給付設計する際の課題は、級付対象とする親族の範囲です。兄弟や祖父母、義父母といった2親等以上の親族または姻族の死亡も給付事由とするかどうかです。こうした親族の死亡の際には、わざわざ申請しない会員も多いようです。
3.遺児育英年金
世帯主である会員が死亡した場合、本人死亡弔慰金の他に子女に対して給付されるのが遺児育英年金です。
子女が高校または大学卒業の所定の年齢に到達するまで継続的に給付されます。相互扶助として望ましい級付ですが、給付総額は多額となるため、共済会の長期的な財政に影響する給付であることを前提に給付設計を行なう必要があります。
4.傷病見舞金
会員本人が傷病により休業していることを事由に、休業期間の長さに応じて給付されます。見舞金であるため、休業期間1回につき給付は原則として1回です。
5.災害見舞金
会員が居住する住宅(持ち家、賃貸とも)が火災、風水害、地震などで損壊した際に、損壊状況に応じて見舞金を給付します。ほとんどの共済会で実施されています。
「実践!福利厚生改革」より